今回は男性不妊のお話。クリニック受診した際に、前回提出した精液検査の結果を教えてもらいました。
一般的に、精子提供者を決める時に、精液検査の結果を見せて頂くのは当然と思います。そのデータが良くないと、子を授かるという目的が果たせないですからね。
私が現在提供頂いている方も、ご自身で精液検査をして、特に問題ないとの事でした。最初から、私が通ってるクリニックで再度、精液検査を行う予定だったので、私は今回あえて見せて頂きませんでした。”どうせわかるし”っと思って。
そして、先週ご協力頂いて、提出してきたわけです。
精液一般検査と「不妊治療としての」精液検査
一般的に精液検査と言えば、調べる項目として、精液量、PH、精子濃度、精子運動率、精子正常形態率、精子生存率…あたりではないかと思います。精液の機能を見る上では十分なんだと思います。
ただ、これが不妊治療をしているカップルにおいては、少し様子が違います。今回の精液検査の項目には、上記の項目にプラスして、速度が速く直進する精子、平均精子速度、運動精子濃度(MSC)、高速前進運動精子濃度(PMSC a)、低速前進運動精子濃度(PMSC b)、形態や直進性良好な精子濃度(FSC)、精子の受精能力(SMI)といった項目がありました。
なかなか見かけない項目ですよね。私も今回はじめて知りました。
そして、この高速前進運動精子濃度(PMSC a)と低速前進運動精子濃度(PMSC b)、精子の受精能力(SMI)が引っ掛かったのです。
高速前進運動精子濃度が低いと何が問題?
パートナーが引っ掛かった「高速前進運動精子濃度」。速く前進している精子がどれぐらいいるかって話なんですが、基準値は、5×106/ml以上との事。彼は、1.3×106/mlで大幅に低いです。
つまり、精子の速度が速くない。性交渉をして、精子が子宮内に入っても、自力で卵子にたどり着けない。もっと言うと、体外受精で取り出した卵子にふりかけても卵子にたどり着けない。顕微授精一択となるわけです(卵子の中に精子を1匹ずつ入れてあげる)。
男性不妊の原因は?精索静脈瘤って何?
私の通っているクリニックでは、男性不妊の治療は出来ないので、紹介状を書いて頂きました。男性不妊の原因は、もちろん色々ありますが、ここでは、精索静脈瘤を代表的な疾患と取り上げてみます(男性不妊の原因の40%にもなるとか)。実際、私の主治医からも、この精索静脈瘤かもよって言う話がありました。精巣に流れる血流障害や血液の逆流により陰嚢にこぶ(静脈瘤)ができてしまうそうです。陰嚢に痛みや違和感がある事はまれで、たいていは陰嚢の形状に左右差がある、陰嚢の表面に凸凹があるなど見た目の特徴で気が付くそうです。
この精索静脈瘤の詳しい原因や検査などは触れませんが、もしこの病気だった場合、治療は手術。しかし、手術をした場合、体内で精子が作られはじめてから射精されるまでには、通常約3ヶ月ほどかかるそうです。つまり、精子の機能の改善は手術後3ヶ月以降に期待しなければなりません。しかし、手術をしたからと言って、全員の精子の機能が改善するという保証はありません。私のような30代後半の女性にとって、3ヶ月以上待つというのは、結構厳しい現実です。
しかし、
顕微授精の前に精索静脈瘤手術をした患者としなかった患者の治療成績の比較報告。精液所見が不良で精索静脈瘤を認めた242人の不妊男性における顕微授精の治療成績の比較した。80人は顕微授精の前に「そ径下精索静脈瘤手術を受け162人は手術しないまま顕微授精を施行。精索静脈瘤手術を受けたグループでは運動精子の数が増え、精索静脈瘤手術を受けなかったグループと比較すると妊娠率は45%に対し60%と高く、生児の分娩率も流産が減ったことにより31%に対し46%と良好。
J Urol 2010; 184: 1442 Clinical outcome of intracytoplasmic sperm injection in infertile men with treated and untreated clinical varicocele
という論文もありました。悩ましいですね。
今後どうする?
これは、あくまでもパートナーが精子提供者である私の場合ですが、①彼に男性不妊のクリニックに受診してもらう。②男性不妊の原因を調べる。③原因が不明、治療に時間がかかる、治療しても劇的な改善が見込める可能性が低い、と言う状況であれば、特に何もせず(生活リズムを改善するとか、そういうのは行ってもらうけど)、このまま顕微授精を行う。と言うので、進めようかと現時点では思っています。
世の「精子提供者」と名乗りを上げてる方に言いたい事
私の提供者さんも、一般的な精液検査では、異常ないデータでした。しかし、もっと詳細に調べてみると、自然妊娠は望めない状況が発覚したのです。
精子提供者さんの中には、本当に真面目にボランティア精神でご協力して頂いている方も多くいるのも知っています。ただ、一般的な泌尿器科の精液検査では、項目が足りないのです。ぜひ男性不妊専門の泌尿器科もしくは、不妊治療に対応できる検査ができる泌尿器科での精液検査をお願いします。
この結果により、貴方が提供する女性の数か月もしくは数年、もしかしたら一生が変わってきてしまうかもしれません。それぐらいの責任をもって、「精子提供者」と名乗って欲しいと思います。
